教員の仕事は非常に大変であり、精神的なストレスが原因で休職を考える方が毎年多くいます。
文部科学省によると、令和2年度の公立学校教職員の状況では、精神疾患により休職をする教員が5,000人以上にのぼります。
出典:文部科学省「令和2年度公立学校教職員の人事行政状況調査について(概要)
えー!こんなにいるんですか?
そうなんだよ!優秀な人ほど仕事が重くなるからね!
本記事では、教員の休職に関する知識や手続きの流れを、元教員の私の経験を踏まえて詳しく解説します。
教員の病気休暇や休職の制度、休職中の給料の扱い、休職中にすべきことなどについても触れ、教員の皆さんの疑問に答えることを目指します。
この記事はこんな方におすすめ
・ひよっこのみなさま
・教員の仕事に疲れてしまった
教員(公務員)の休職制度とは
教員(公務員)の休職制度は、身分を保持しながら最長3年間職務から離れることができる制度です。
この制度は、人事院規則「職員の身分保障」によって概説されています。
教員が休職できるのは、特別な職務に従事する場合、災害によって所在不明になった場合、または病気など特別な理由がある場合に限られます。
休職期間は任命者の判断により決定され、休職後はキャリアや給与面でマイナスの評価を受けずに職場に復帰することが可能です。
教員の多くを占める地方公務員の休職に関しては、各自治体の条例で定められており、地域によって若干の違いがあります。
具体的な詳細は各自治体のホームページで確認できます。
また、私立学校の教員に関しては、各学校の内規によって休職制度が設けられています。
ほとんどの学校では休職制度がありますので、詳細は所属する学校にて確認してください。
教員の休職する理由
教員が休職を考える理由は大きく2つに分けられます。
うつ病などの精神疾患
一つ目はうつ病などの精神疾患による休職で、文部科学省の調査(令和元年度)によると、公立学校の教職員で精神疾患により休職した人数は5,478人に上り、教員の休職率は0.59%とされています。
この種の休職では、一定期間給料が保障されるため、心身を休めて教員として復職することが目的です。
自己都合による休職
2つ目は自己都合による休職で、例えば大学院で専修免許状を取得するために3年以内の休職が可能です。
休職中は身分を保持しますが、職務には従事せず、給与の支給もありません。
教員(公務員)の場合、公立学校の教員で一種免許状または特別免許状を持つ者は、任命権者の許可を受けて専修免許状を取得するための休業をすることができます。
このように教員の休職制度は、教員のキャリアや健康を守るために様々な側面でサポートを提供しています。
しかし、休職を検討する際には、それぞれの状況に合った制度を理解し、適切な手続きを行うことが重要です。
教員が休職をするデメリット
教員が休職する際には、確かにいくつかのデメリットが存在します。
しかし、それらを知ることは、総合的な判断を下す上で重要です。
以下では、教員が休職する際に一般的に言われるデメリットを具体的に紹介します。
賞与(ボーナス)の減少
教員の休職に伴う最も顕著なデメリットの一つは、賞与(ボーナス)の減少です。
病気休暇中は100%の賞与が支給されますが、休職の1年目では80%の支給となることが多いです。
そして、休職が2年目に入ると、賞与の支給はなくなります。
これは、疾病手当は受け取っていても、実際の給料を受け取っていないためです。
自治体によっては異なる場合もありますので、詳細は所属する学校の事務担当者に確認してください。
周囲の理解の欠如
もう一つのデメリットは、周囲からの理解を得られないことがある点です。
病休をよく思わない子ども、保護者、同僚がいることも現実として受け止める必要があります。
復帰後、指導が難しくなることや、信頼を失う可能性もあり、実際に、休職経験者であることを理由にクレームが寄せられることもあります。
これらの経験は、教員としてのキャリアにとって心理的な重荷となり得ます。
教員の仕事は、子どもたちの成長を支える責任重大な職業です。
しかし、その責任を果たすためには、自身の健康と心身のバランスを最優先に考慮することが不可欠です。
休職を選択する場合は、これらのデメリットを踏まえつつ、自分自身の健康を守ることの重要性を忘れないでください。
教員が休職する手続きの流れ
教員が病気により休職する際の基本的な手続きの流れは、以下の通りです。
病気休暇の取得
最初のステップは「病気休暇」を取得することです。
病気休暇は民間企業の有給休暇と同様に扱われ、最初の90日間は給与が全額保証されます。
ただし、1週間以上の病気休暇を取る場合は、医師の診断書が必要となります。
病気休暇が90日を超えると欠勤扱いとなり、給与は支給されません。
そのため、さらに休む必要がある場合は「病気休職」の申請を行います。
病気休職の申請
90日を超えて休む場合、病気休職の申請が必要です。
病気休職の申請には、医師による診断書が必要となります。病気休職をすると、給与は80%支給され、最大1年間給与の支払いがあります。
しかし、身分保証は最大3年間とされています。
公立学校の教員で共済組合に加入している場合は、傷病手当金の申請が可能です。
この手当金は給与の3分の2が支給されるため、申請することが推奨されます。
教員が休職中にやるべきこと
教員が休職中に取り組むべきことには、心身の回復、復職に向けた計画、そして場合によってはキャリアの再考が含まれます。
休職はただ休むだけではなく、再び活動を再開するための重要な期間です。
心身の回復を最優先に
休職期間中の最も重要なことは、心身の回復を最優先にすることです。
最初は何もする気力がわかないかもしれませんが、それは自然なことなので大丈夫ですよ。
この時期は、無理せず自分のペースで過ごし、必要な休息を取ることが重要です。
また、医師の指導に従い、健康状態を見守りながら自分自身に焦点を当ててください。
復職に向けた準備と計画
体調が回復してきたら、復職に向けた準備を始めることが推奨されます。
管理職とのコミュニケーションを取り、自身の状態を共有し、復職の時期について話し合うことが大切です。
出勤が難しい場合は、電話やメールを通じてでも構いませんので、自分の体調と相談しながら、無理のない復帰計画を立てていくことが肝要です。
転職の検討
休職中に、教員としての復職が適切ではないと感じる場合は、転職も検討してみる価値があります。
無理に教員に戻ることが必ずしも最善ではない場合もあり、また、新しい環境で新たなキャリアを築くことが、自身にとってより良い選択になることもあります。
休職期間中は自己分析を深め、自分の将来像についてじっくり考える時間を持つことが推奨されます。
教員の休職のまとめ
以上で、教員の休職に関する知識や手続きの流れを、元教員の私の経験を踏まえて詳しく解説してきました。
大事な制度ですね!
自分の人生だからゆっくり考えよう!
休職は、身体や精神の健康を守るための重要な選択ですが、賞与の減少や周囲の理解の欠如などのデメリットも存在します。
しかし、これらのデメリットは、自身の健康と将来のキャリアを考慮した上での判断材料に過ぎません。
休職の手続きは、病気休暇から始まり、必要に応じて病気休職へと移行します。
この過程で、自分の健康状態としっかり向き合い、適切な時期に復職または転職を検討することが大切です。
最終的には、教員として、また一人の人間としての幸せと健康を最優先に考えることが、何よりも重要です。
この記事が、休職を考えている教員の方々の参考になれば幸いです。
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